皆さん、こんにちは。神奈川県川崎市を拠点に、地域密着で新築工事・改修・リフォーム工事・耐震診断・補強工事を手掛けている有限会社金子建設です。
耐震診断を受けて報告書を開いたものの、「評点0.7はどの程度危ないのか」「1.0を超えれば、もう心配しなくてよいのか」と戸惑う方は少なくありません。数字は判断の大切な材料ですが、数字だけを見ても、家のどこが弱く、何を直すべきかまでは分かりにくいものです。
耐震診断書を読むときは、総合的な評点だけでなく、階ごと・方向ごとの数値、劣化状況、基礎や屋根の状態、補強後の想定評点まで確認することが重要です。
【要点まとめ】
この記事で得られる3つの重要ポイントは以下の通りです。
- 耐震診断書に記載される評点0.7・1.0・1.5の意味が分かる
- 同じ家でも階や方向によって評点が異なる理由が分かる
- 診断結果を補強計画や見積もりにどうつなげるかが分かる
【目次】
- 耐震診断書は「工事が必要か」だけを決める書類ではない
- 評点0.7・1.0・1.5の意味を確認する
- 同じ家でも階や方向によって評点が変わる
- 診断書で評点以外に確認したい5つの項目
- 補強計画と見積もりは診断結果につながっているかを見る
- 川崎市で耐震診断後の進め方に迷ったら早めに相談する
■耐震診断書は「工事が必要か」だけを決める書類ではない
耐震診断書は、単に「安全」「危険」と結論を出すための書類ではありません。現在の住まいの弱点を整理し、どのような補強が必要かを検討するための出発点です。
・耐震診断が確認するのは大地震時の倒壊可能性
木造住宅の一般的な耐震診断では、大地震が起きたときに建物が倒壊する可能性を評価します。普段の生活で床がきしまない、壁に目立つひび割れがないというだけでは、地震に対する強さを十分に判断できません。
壁の量や配置、柱・梁・土台のつながり、屋根などの重さ、建物の劣化状況といった複数の条件を確認し、総合的に評価します。その結果を分かりやすく表す数字の一つが「上部構造評点」です。
・評点は家全体の絶対的な安全証明ではない
評点が高ければ、一般的には倒壊の可能性が低い方向へ評価されます。ただし、地盤や擁壁、基礎の状態、想定を超える地震、施工後の劣化まで、すべてを一つの数字で保証できるわけではありません。
診断書に「一応倒壊しない」と書かれていても、「どのような地震でも無傷」という意味ではない点に注意が必要です。評点は、補強の必要性や優先順位を考えるための重要な指標として受け止めましょう。
・診断方法や前提条件も確認する
報告書を受け取ったら、どの診断方法を用いたのか、図面と現地調査の両方を確認したのか、見えない部分をどのように扱ったのかも聞いておきたいところです。
図面が残っていない住宅や、過去に増改築をしている住宅では、現地で確認できる情報に限りがあります。不明な部分がある場合は、その前提が報告書にどう反映されているかを確認すると、結果を正しく理解しやすくなります。
■評点0.7・1.0・1.5の意味を確認する
一般的な木造住宅の耐震診断では、評点によって倒壊の可能性を4段階で示します。まずは自宅がどの区分に当てはまるのかを確認しましょう。
・0.7未満は「倒壊する可能性が高い」
評点が0.7未満の場合は、「倒壊する可能性が高い」と判定されます。数値が低い理由は、耐力壁の不足だけとは限りません。壁の偏り、接合部の弱さ、重い屋根、基礎の状態、雨漏りやシロアリによる劣化などが重なっていることもあります。
すぐに工事内容を決めるのではなく、どの要因が数値を下げているかを診断士に確認することが大切です。
・0.7以上1.0未満は「倒壊する可能性がある」
この範囲は、0.7を超えているから安心という意味ではありません。建物の弱い方向や階、劣化箇所を確認し、補強の優先順位を整理する必要があります。
限られた予算で進める場合でも、目立つ壁だけを感覚的に補強するのではなく、補強後の評点や建物全体のバランスを見ながら計画を立てます。
・1.0以上1.5未満は「一応倒壊しない」
評点1.0は、耐震補強を検討するときの一つの大きな目安です。ただし、1.0を少し超えれば何も確認しなくてよいわけではありません。
階や方向によって数値に差がある場合や、基礎・地盤に注意事項がある場合は、その内容を別に確認します。また、将来の間取り変更や屋根への設備設置などで建物の条件が変われば、現在の評価をそのまま当てはめられないこともあります。
・1.5以上は「倒壊しない」
1.5以上は4段階のうち最も高い区分です。それでも、建物が一切損傷しないことを保証する数字ではありません。耐震診断は主に人命を守るため、倒壊を防ぐ視点で評価するものです。
住み続ける期間、建物の維持管理、家具の転倒防止や避難経路の確保も含めて、住まい全体の地震対策を考えましょう。
■同じ家でも階や方向によって評点が変わる
耐震診断書には、1階・2階、X方向・Y方向など、複数の評点が記載されることがあります。見るべきなのは平均値ではなく、どこに弱点があるかです。
・窓や出入口が多い方向は壁が不足しやすい
大きな窓や玄関、店舗の開口部などが集中する面は、地震に抵抗する壁を確保しにくいことがあります。反対側に壁が多くても、建物全体のバランスが悪いと、揺れたときにねじれるような動きが生じやすくなります。
「壁の量が足りているか」だけでなく、「どこに配置されているか」を見る必要があるのはこのためです。
・1階が弱い住宅では変形が集中しやすい
1階に広いリビングや車庫、店舗があり、2階に個室の壁が多い住宅では、1階の評点が低くなることがあります。地震時に弱い階へ変形が集中すると、大きな被害につながりかねません。
補強計画では、弱い階や方向を優先しつつ、建物全体の力の流れが不自然にならないように考えます。
・劣化状況が評点に影響する
壁や金物が計算上存在していても、土台や柱が腐っている、シロアリ被害がある、雨漏りが長く続いているといった場合は、本来の性能を発揮できない可能性があります。
そのため、耐震診断は図面上の計算だけでなく、現地で劣化状況を確認することが欠かせません。低い評点の原因が「壁の不足」なのか「劣化」なのかによって、必要な工事は変わります。
■診断書で評点以外に確認したい5つの項目
診断結果を受け取ったら、数字だけで閉じず、次の5項目を診断士と一緒に確認しましょう。
・1. 最も低い階・方向
どの階の、どの方向が弱いのかを確認します。最低評点だけでなく、他の方向との差も見ると、補強の優先箇所が分かりやすくなります。
・2. 基礎と地盤に関する注意事項
上部構造評点とは別に、基礎のひび割れ、鉄筋の有無、地盤や立地条件について注意事項が記載されることがあります。壁だけを強くしても、力を受ける基礎に問題があれば、計画を見直す必要があります。
・3. 雨漏り・腐朽・シロアリなどの劣化
劣化箇所がある場合は、耐震補強の前に原因を止め、傷んだ部材をどこまで補修するかを決めます。表面の内装をきれいにするだけでは、構造部分の問題は解決しません。
・4. 屋根や外壁など建物の重さ
重い屋根は、地震時に建物へ働く力を大きくする要因の一つです。一方で、屋根だけを軽くすれば十分とは限りません。壁・金物・基礎と合わせて補強効果を確認します。
・5. 調査できなかった部分
天井裏や床下へ入れない、壁を壊さずに確認できないといった部分は、報告書上で「不明」と扱われることがあります。工事で壁を開けた際に追加確認が必要か、あらかじめ聞いておくと安心です。
金子建設の考え方や対応内容をもう少し知りたい方は、こちらのページも参考にしてみてください。
■補強計画と見積もりは診断結果につながっているかを見る
耐震工事の見積もりは、金額だけでなく「なぜこの工事が必要なのか」を診断結果と照らして確認することが大切です。
・補強前と補強後の想定評点を比べる
補強計画では、工事前の評点と、計画どおりに施工した場合の想定評点を確認します。どの壁を補強し、どの金物を設置し、数値がどのように変わるのかを説明してもらいましょう。
数値が上がっていても、一部の方向だけが極端に強くなっていないか、基礎への対応が必要ではないかまで確認することが重要です。
・耐震工事と仕上げ工事を分けて見る
壁を補強するためには、既存の壁や床、天井を一度解体し、工事後にクロスや外壁を復旧することがあります。見積もりでは、構造を強くする工事と、見た目や使い勝手を戻す仕上げ工事を分けて確認すると、費用の理由が見えやすくなります。
同時に水まわりや断熱、間取りを改修する場合も、耐震工事の範囲とリフォームの範囲を整理しておきましょう。
・工事中に判明した劣化への対応を確認する
築年数の古い住宅では、壁や床を開けて初めて、腐朽や蟻害、過去の施工状況が分かることがあります。追加工事が必要になった場合の判断方法、写真記録、費用の承認手順を契約前に確認しておくと、工事中の認識違いを防ぎやすくなります。
■川崎市で耐震診断後の進め方に迷ったら早めに相談する
診断書の内容が理解できないまま、工事を急いで決める必要はありません。まずは弱点と優先順位を整理し、暮らし方や予算に合う計画を考えましょう。
・2026年4月から川崎市の制度対象が拡充
川崎市の木造住宅耐震改修助成制度は、2026年4月から、2000年5月31日以前に着工した一定の木造住宅まで対象が拡充されています。対象となる建物の構造や工法などには条件があり、市の事前審査も必要です。
また、助成制度を利用する場合は、交付決定前に工事契約などを行うと助成対象にならないため、進める順番に注意しましょう。制度は変更される可能性があるため、必ず川崎市の最新情報を確認してください。
・診断・設計・施工を一つの流れで考える
診断結果が出た後は、補強計画、見積もり、施工、工事監理へと進みます。それぞれが分断されると、診断書の弱点が工事へ正しく反映されているか分かりにくくなります。
金子建設は、川崎市木造住宅耐震診断士、川崎市木造住宅耐震改修施工者として、設計から施工まで一貫してご相談を承っています。
診断書や補強計画の読み方に迷ったら、報告書や図面をご用意のうえご相談ください。
まだ工事を決めていない段階でも構いません。気になることがあれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

