「キッチンの上の棚はいらない」と決める前に。知っておきたいメリットと注意点

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毎日立つキッチンで、ふと「この頭上の棚、本当に必要だろうか?」と感じたことはありませんか。


洗い物の最中に頭をぶつけそうになったり、奥にしまい込んだ物を取るのが億劫で、結局使わないままになっていたり。なんとなく感じる圧迫感が、リビングでくつろぐ家族との一体感を妨げているように思えたり。もし、そうした瞬間に心当たりがあるのなら、その直感は間違っていないかもしれません。


思い切ってキッチンの上の棚、いわゆる「吊り戸棚」をなくしてみると、驚くほどたくさんのメリットが生まれます。視界を遮るものがなくなることで得られる圧倒的な開放感。壁面を活かした自由なインテリア。そして、ほこりがたまりがちな棚の上を掃除する手間からの解放。キッチンは、単なる作業の場から、心地よく過ごすための空間へと生まれ変わります。


ただ、その一方で、その決断を後悔しないためには、事前に知っておくべき大切なポイントがいくつかあります。勢いだけで進めてしまうと、「こんなはずではなかった」という事態にもなりかねません。あなたのその素晴らしい直感を、確かな満足へとつなげるために、メリットと注意点を一つずつ丁寧に見ていきましょう。




あなたは当てはまる?吊り戸棚がなくても快適なキッチンの「3つの条件」

吊り戸棚のないキッチンは、誰にとっても最適な選択というわけではありません。ご自身の暮らし方や価値観に合っているかどうかを冷静に見極めることが、後悔しないための第一歩です。ここでは、専門家の視点から見て、吊り戸棚がなくても快適な暮らしを実現できる人の「3つの条件」をご紹介します。



【条件1:収納】代わりの場所を具体的に確保できる

最も重要なのが、収納場所の確保です。「なんとかなるだろう」という漠然とした考えは危険信号。吊り戸棚がなくなることで失われる収納量を、どこで、どのように補うのか、具体的な計画が不可欠です。


例えば、キッチンの背面にカウンタータイプの収納を設け、食器や調理家電をまとめてしまえるか。あるいは、パントリー(食品庫)をつくるスペースがあり、ストック類を一括管理できるか。このように、吊り戸棚に代わる明確な「収納の指定席」を用意できることが、すっきりとしたキッチンを保つための絶対条件になります。



【条件2:持ち物】自分の「適正量」を把握している

あなたは、ご自宅のキッチンにある食器や調理器具の数を正確に言えますか?吊り戸棚は、使わないけれど捨てられない物の「隠れ家」になりがちです。


吊り戸棚をなくすことは、自分の持ち物と向き合い、「本当に必要なもの」だけを選ぶ良い機会になります。日々の暮らしに必要な物の「適正量」をきちんと把握し、それを維持できる人にとって、吊り戸棚のないミニマルな(無駄のない)キッチンは、非常に心地よい空間となるでしょう。逆に、物が増えがちな自覚がある方は、少し慎重に考えた方が良いかもしれません。



【条件3:性格】空間づくりや手入れを楽しめる

吊り戸棚がなくなった壁は、キッチンの中で最も目立つ「キャンバス」になります。そこにオープンシェルフ(飾り棚)を付けてお気に入りの雑貨を飾ったり、アクセントクロスで色を楽しんだり。そうした空間づくりそのものを楽しめる人には、吊り戸棚のないキッチンは最高の選択肢です。


同時に、壁の油はねや、飾り棚のほこりなどをこまめに掃除する手入れも必要になります。そうした日々のメンテナンスを「家を大切にする時間」と捉え、楽しめるかどうかも、考えておきたいポイントの一つです。




「収納は?」「油はねは?」気になる疑問にプロが答えます

吊り戸棚をなくすことを具体的に考え始めると、いくつかの現実的な疑問が浮かんでくるはずです。ここでは、多くの方が抱く不安や疑問について、Q&A形式でお答えしていきます。



Q. やっぱり収納が足りなくならないか心配です。

A. ご心配はもっともです。しかし、最近のキッチン収納は大きく進化しています。特に、腰から下に入れる引き出しタイプの収納は、一見コンパクトでも驚くほどの収納力を備えています。


昔ながらの開き戸収納と違い、引き出し式は奥まで無駄なくスペースを使え、上から見渡せるので物の出し入れも非常にスムーズです。デッドスペース(無駄な空間)になりがちなコーナー部分を活用する独創的な収納ユニットもあります。吊り戸棚がなくても、こうした最新のフロア収納(床に近い収納)と、先ほどご紹介した背面収納などを組み合わせることで、ほとんどの場合、十分な収納量を確保することが可能です。



Q. 壁の油はねや汚れの手入れが大変ではないですか?

A. 確かに、壁の面積が広くなる分、汚れが気になる場面は増えるかもしれません。しかし、これは素材選びで大きく解決できます。例えば、コンロ周りの壁には、油汚れをさっと水拭きだけで落とせるホーロー製のキッチンパネルや、目地が少なく掃除がしやすい大判のタイルを選ぶのがおすすめです。


また、壁全体ではなく、コンロの前など汚れやすい部分にだけデザイン性の高いパネルを貼る「見せるガード」のような方法もあります。最初から手入れのしやすさを考えて素材を選ぶことで、きれいな状態を楽に保つことができます。



Q. 地震の時に、上の棚から物が落ちてくる心配がなくて安全ですか?

A. はい、その点は大きなメリットと言えます。地震の際、頭上の吊り戸棚から重い食器などが落ちてくるリスクがなくなることは、防災の観点から見ても非常に重要です。特に、キッチンで火を使っている最中に大きな揺れが来た場合のことを考えると、その安心感は計り知れません。


ただし、代わりにオープンシェルフを設置する場合には注意が必要です。棚に滑り止めのシートを敷く、重いものや割れ物は下の段に置く、物の手前に落下防止のバーを取り付けるといった工夫をすることで、安全性をさらに高めることができます。




こんなに変わる!吊り戸棚をなくしたキッチンの素敵な事例

頭ではメリットを理解していても、実際にどんな空間になるのか、具体的に想像するのは難しいかもしれません。ここでは、吊り戸棚をなくすことで生まれた、3つの異なるスタイルのキッチン空間を描写してみます。ご自身の理想の暮らしをイメージしながらご覧ください。



LDKと一体になる、家族のコミュニケーションキッチン

あるご家庭では、リビングに背を向ける形だった独立型のキッチンを、リフォームを機に対面式のカウンターキッチンに変えました。その際、リビング側からの視線を遮っていた吊り戸棚を思い切ってなくしたのです。


結果、キッチンはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)という大きな空間の中に溶け込み、どこにいても家族の気配を感じられる場所に生まれ変わりました。料理をしながらリビングで遊ぶ子どもの様子を見守ったり、カウンター越しに学校での出来事を聞いたり。キッチンは単なる作業場ではなく、家族のコミュニケーションの中心になりました。空間全体が明るく、広く感じられるようになったのは言うまでもありません。



お気に入りを飾る、カフェのような見せるキッチン

夫婦二人暮らしを始めるタイミングで、中古のマンションを自分たちらしく改装したご夫婦。二人の共通の趣味は、こだわりの道具で淹れるコーヒーでした。そこで、キッチンの吊り戸棚があった場所には、木の質感を生かしたオープンシェルフ(飾り棚)を設置。


そこには、デザインの美しいコーヒーミルやドリッパー、お気に入りの作家が作ったマグカップが、まるでカフェのディスプレイのように並んでいます。キッチンに立つたびに好きなものに囲まれている満足感があり、毎日のコーヒータイムが以前にも増して特別な時間になりました。キッチンは、二人の「好き」を表現する大切な場所になっています。



窓からの光が差し込む、明るく清潔なキッチン

以前のキッチンは北側にあり、日中でも照明が必要なほど薄暗いのが悩みでした。そこで、リフォームの際に吊り戸棚があった壁に、横長の窓を新設しました。


その窓から差し込む安定した光は、手元を明るく照らしてくれるため、調理が格段にしやすくなりました。何より、朝の光を感じながら朝食の準備をする時間は、一日を気持ちよく始めるための大切な習慣になったそうです。窓を開ければ心地よい風が通り抜けるので、料理の匂いがこもりにくく、キッチン全体を清潔に保ちやすいという、うれしい効果もありました。




ただ無くすだけじゃない。空間を活かすワンランク上の工夫

吊り戸棚をなくして生まれた広々とした壁面は、あなたのキッチンをさらに魅力的にするための大きな可能性を秘めています。ただ何もない壁にするだけでなく、ほんの少しの工夫を加えることで、空間の質は格段に向上します。ここでは、プロの視点から見た、ワンランク上の空間活用のアイデアをご紹介します。



照明の工夫で、空間に奥行きと温かみを

キッチンの照明は、部屋全体を照らす天井のライトだけではありません。吊り戸棚がなくなった壁面を優しく照らす間接照明を取り入れると、空間にぐっと奥行きが生まれます。柔らかな光が壁の素材感を浮かび上がらせ、日中とはまた違う、落ち着いた雰囲気を演出してくれるでしょう。


また、カウンターキッチンの上から、デザイン性の高いペンダントライトをいくつか吊るすのも素敵です。手元が明るくなるという機能性はもちろん、見た目にも美しい光のアクセントが、キッチンでの時間をより豊かなものにしてくれます。



素材感のある壁で、キッチンの主役に

白い壁紙もシンプルで素敵ですが、せっかくの広い壁面です。素材に少しこだわってみてはいかがでしょうか。温かみのある木板を貼ればナチュラルな雰囲気に、クールな印象のモルタル風の塗装を施せば、まるでスタジオのような空間になります。


全面に施工するのが難しくても、コンロ周りなど一部にアクセントとしてタイルを貼るだけでも、キッチンの印象は大きく変わります。壁そのものがインテリアの主役となり、シンプルながらも質の高い、愛着のわくキッチンが生まれます。


ちょっとした「カウンター」や「ニッチ」をプラスする

壁の前に奥行き30センチほどの簡単なカウンターを造り付けるのも、とても実用的なアイデアです。忙しい朝にさっと朝食をとったり、お子様が宿題をするスペースにしたり、レシピを見ながらパソコン作業をしたりと、多目的に使える便利な場所になります。


また、壁の厚みを少し利用して「ニッチ」と呼ばれる埋め込み式の飾り棚を作るのもおすすめです。場所を取らずに、よく使うスパイス類を置いたり、小さなグリーンを飾ったりするのに最適です。


こうしたプロならではのアイデアは、家づくりのパートナーとなる会社の姿勢や考え方にも表れます。まずは、どんな会社なのかを知るところから始めてみてはいかがでしょうか。


会社紹介:https://www.kaneko-knst.com/aboutus




「いらない」決断を成功へ導く、信頼できるパートナー選び

「キッチンの上の棚は、いらないかもしれない」という小さな気づきは、あなたの暮らしをより豊かに、より快適にするための大きな一歩です。


その決断を後悔のない、確かな満足へとつなげるためには、まずご自身の暮らしと丁寧に向き合うことが欠かせません。どれくらいの物を持ち、どんな時間をキッチンで過ごしたいのか。その上で、吊り戸棚をなくすことのメリットと、収納計画や日々の手入れといった注意点の両方を、きちんと理解することが大切です。


そして何より、理想のキッチンを実現するためには、信頼できるプロのパートナーの存在が不可欠です。あなたの家族の希望を正確に汲み取り、専門家としての知識と経験を基に、安全性や機能性まで含めた最適なプランを提案してくれる。そんな心強い存在がいれば、安心して理想のキッチンづくりを進めることができるでしょう。


憧れのキッチンは、決して手の届かないものではありません。正しい知識と、信頼できるパートナーと共に、あなただけの心地よい空間を実現してください。


もし、ご自宅のキッチンについて具体的な相談をしてみたくなったら、気軽に専門家の声を聞いてみることをお勧めします。


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