【そのリフォーム、耐震は大丈夫?】資産価値も守る、戸建てリフォームと耐震補強の賢い進め方

「子どもたちが独立したから、間取りを変えて夫婦二人の暮らしやすい家にしたい」

「水回りが古くなってきたので、キッチンやお風呂をまとめて新しくしたい」


築年数が経過した戸建て住宅にお住まいの方なら、一度はこうした大規模なリフォームを考えたことがあるのではないでしょうか。そして、そのタイミングで「そういえば、家の耐震性も気になっていたな。どうせ壁や床を壊すなら、一緒にできないだろうか」と考えるのは、非常に合理的で賢明な判断です。


多くの場合、耐震補強は「安全のためのコスト」や「守りのための工事」と捉えられがちです。しかし、実はリフォームと同時に行うことで、耐震補強は単なる補強に留まらず、あなたの理想の住まいづくりを後押しする「攻めの投資」となり得ます。


この記事では、耐震補強をリフォームの制約と考えるのではなく、むしろ間取りの自由度を高め、住まいの快適性を向上させるための「追い風」と捉える新しい視点をご提案します。これからリフォームを計画している方はもちろん、いつかは、と考えている方もぜひご一読ください。




■コストも手間も削減。リフォームと耐震補強を同時に行う3大メリット

なぜ、リフォームと耐震補強は別々に行うよりも、同時に計画するのが有利なのでしょうか。そこには、コストや手間、そして国からの支援という観点から、見過ごすことのできない3つの大きなメリットが存在します。



・メリット1:工事費用を大幅に削減できる

最大のメリットは、工事費用を大きく節約できる点にあります。例えば、間取り変更のために壁を壊す工事と、壁の強度を高めるための耐震工事では、「壁を壊して、再び作る」という工程が共通しています。別々に行えば二度手間になる作業が、一度で済むのです。同様に、床下の補強とフローリングの張り替え、屋根の軽量化と外壁塗装なども、足場の設置費用を一度にまとめることができます。これらの重複する工程や費用を一本化することで、トータルのコストを大幅に抑えることが可能になります。



・メリット2:工期が短縮され、生活への負担が減る

工事期間中の騒音や職人の出入り、使えない部屋があるといった状況は、住人にとって少なからずストレスとなります。リフォームと耐震補強を別々のタイミングで行えば、その負担を二度経験することになってしまいます。同時に計画し、効率よく工事を進めることで、全体の工期を短縮でき、心身の負担や仮住まいが必要な場合の費用も最小限に抑えることができます。



・メリット3:補助金・減税制度を有効活用できる

多くの自治体では、耐震補強工事に対して補助金制度を設けています。さらに、一定の耐震基準を満たすリフォームを行うことで、所得税の控除や固定資産税の減額といった税制優遇を受けられる場合があります。これらの制度を最大限に活用するには、計画段階で専門家と相談し、条件を満たす工事内容にすることが重要です。リフォームと同時に行うことで、これらの制度をより有効に活用しやすくなります。




■耐震補強が「理想の間取り」を可能にする具体例

「耐震性を高めるには、壁を増やしたり抜けなくしたり、制約が増えるのでは?」そう思われがちですが、実際はその逆のケースも少なくありません。計画的な耐震補強は、むしろリフォームの自由度を高め、これまで諦めていた理想の間取りを実現するきっかけとなり得るのです。



・例1:壁の補強を機に、憧れのリビング大開口を実現

例えば、「リビングと隣の和室を繋げて、広々とした一つのLDKにしたい」という要望があったとします。しかし、単純に間の壁を抜いてしまうと、家の構造的な強度が不足してしまうことがあります。そこで、壁を抜く代わりに、別の場所に計算された「耐力壁」を新設したり、梁を太いものに交換して補強したりすることで、耐震性を確保しながら安全に大空間を作ることが可能になります。耐震補強の知識があるからこそ、大胆な間取り変更に踏み切れるのです。



・例2:基礎工事と合わせて、床下の断熱・防湿対策も万全に

基礎の補強のために床をはがすのであれば、それは床下の状態を改善する絶好のチャンスです。床下に断熱材を充填したり、防湿シートを敷設したりする工事を同時に行えば、耐震性だけでなく、冬の底冷えや夏の湿気といった住まいの快適性も大きく向上させることができます。



・例3:屋根の軽量化で、建物への負担を減らしつつ外観も一新

地震の揺れを小さくするために、重い瓦屋根を軽い金属屋根に葺き替える耐震補強は、家の外観デザインを一新する機会にもなります。屋根の色や素材が変わるだけで、家の印象は大きく変わります。耐震性という機能的な目的を果たしながら、同時にデザイン性の向上も実現できる、一石二鳥のリフォームと言えるでしょう。このように、耐震補強はリフォームの可能性を広げる力を持っています。




■成功の鍵は「ワンストップ」にあり。計画から業者選びまでのポイント


デザイン性の高いリフォームと、建物の安全性を確保する耐震補-強。この二つを高いレベルで両立させるためには、計画の進め方と業者選びに重要なポイントがあります。それは、デザインと構造(耐震)の両方を深く理解し、一手に引き受けてくれる「ワンストップ」のパートナーを見つけることです。



・構造とデザイン、両方を理解している会社を選ぶ

リフォーム会社の中には、内装デザインを得意とする会社、構造計算や耐震補強を得意とする会社など、それぞれに専門分野があります。もし、デザイン会社に依頼して耐震性がおろそかになったり、逆に耐震専門の会社に依頼してデザイン性が損なわれたりしては本末転倒です。理想的なのは、社内に建築士や耐震技術者が在籍し、デザイン担当者と構造担当者がチームを組んで計画を進めてくれる会社です。これにより、デザインの初期段階から構造的な裏付けを取りながら、安全かつ自由なプランニングが可能になります。



・リフォームの要望と耐震性の優先順位を整理する

業者に相談する前に、家族で「リフォームで何を実現したいか」を話し合っておきましょう。「開放的なLDKが最優先」「収納は絶対に減らしたくない」といった要望を明確にし、優先順位をつけておくことが大切です。その上で、専門家から耐震性に関する提案を受け、どこまでなら譲歩できるか、あるいは譲れないのかを判断していくことで、満足度の高い計画に繋がります。



・長期的な視点で資産価値を考える

リフォームと耐震補強を同時に行うことは、現在の暮らしを快適にするだけでなく、その家の資産価値を長期的に維持、向上させることにも繋がります。将来的に家を売却したり、子どもたちの世代に引き継いだりする際にも、「耐震基準を満たした、現代の暮らしに合う家にリフォーム済み」であることは、大きなプラス評価となります。目先の費用だけでなく、未来への投資という視点を持つことも重要です。




■気になる費用と活用できる公的制度


大規模なリフォームと耐震補強を同時に行うとなると、やはり気になるのが費用面です。もちろん、工事の規模や内容によって金額は大きく変動しますが、ここでは一般的な目安と、負担を軽減するために活用できる公的制度について解説します。



・リフォーム内容別の費用相場

耐震補強工事の費用は、一般的な木造戸建て住宅で100万円から250万円程度が目安とされています。これに加えて、リフォーム費用がかかります。例えば、間取り変更を伴うLDKのリフォームであれば200万円から500万円以上、キッチンやお風呂、トイレといった水回り全体の一新であれば150万円から400万円程度が相場となります。ただし、これらはあくまで目安であり、同時施工によるコスト削減効果も期待できるため、必ず複数の会社から詳細な見積もりを取って比較検討することが大切です。



・耐震補強とセットで使える補助金・助成金

多くの自治体では、耐震診断や耐震改修工事に対して補助金・助成金制度を設けています。例えば、東京都の多くの区では、耐震改修工事費の一部(上限100万円前後)を助成する制度があります。これらの制度は、リフォームと同時に行う場合でも適用されることがほとんどです。お住まいの自治体のホームページなどで、どのような制度があるか事前に確認しておきましょう。


・住宅ローン減税などの税制優遇

耐震リフォームを行った場合、所得税が控除される「住宅ローン減税」や「耐震改修促進税制」といった税制優遇制度を利用できる可能性があります。また、一定の要件を満たす耐震改修工事を行うと、翌年分の固定資産税が減額される制度もあります。これらの制度は適用条件が複雑なため、リフォーム会社や税務署などの専門家に相談しながら、漏れなく活用できるように進めましょう。


多くの優良な企業では、こうした補助金や税制優遇の活用についても詳しく、申請のサポートまで含めて提案してくれます。費用面での不安も、まずは専門家に相談してみることが解決への近道です。

理想の住まいづくりについて、専門家のアドバイスも参考にしてみてはいかがでしょうか。

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■次の世代に受け継げる、安全で快適な住まいへ


大規模リフォームは、単に古くなった部分を新しくするだけの工事ではありません。それは、これからの人生をより豊かに過ごすために、そして、大切な住まいを次の世代へと安心して受け継いでいくために、家の未来そのものを考える絶好の機会です。


その大切な機会に、「耐震性」という視点を加えること。それは、家族の命を守るという最も基本的な責任を果たすと同時に、デザインや間取りの自由度を高め、住まいの価値を未来に向けて向上させる、きわめて前向きな選択です。


「守り」である耐震補強と、「攻め」であるデザインリフォーム。この二つを両立させる鍵は、構造とデザインの両面に精通した、信頼できるパートナーを見つけることです。まずは、あなたが思い描く理想の暮らしと、今感じている住まいへの不安、その両方を専門家に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。


この記事が、あなたの家がより安全で、より快適な場所へと生まれ変わるための一助となれば幸いです。

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