キッチンの背面収納は、見た目にも実用面でも便利な存在ですが、いざ設置してみると「思ったより圧迫感がある」「出し入れしにくい」「想像と違った」と後悔する人も少なくありません。こうした後悔は決して特殊なケースではなく、多くの場合「最初の検討段階で見落としていたポイント」が原因になっています。
たとえば、「収納力が多ければ安心」と思い込み、大型の家具を選んでしまったケース。結果として動線が狭まり、調理中にストレスを感じるようになったという声もあります。また、「おしゃれなデザイン重視」で選んだところ、素材が水や油に弱く、手入れがしにくくなってしまったという例も見られます。
共通して言えるのは、事前に「何を収納するか」「どこに置くか」「どう使うか」を具体的にイメージしていなかったこと。つまり“使う人の生活に合わせた設計”がなされていなかった点が、後悔の根本原因になっているのです。
収納はモノをしまうための箱ではなく、暮らしに寄り添う“しくみ”です。よくある失敗例から学び、自分の生活スタイルに合わせた選択をすることが、後悔しないための第一歩といえるでしょう。
収納力を重視しすぎると、動線が犠牲に
背面収納を選ぶとき、つい「たくさんしまえるかどうか」に目が向きがちです。もちろん収納力は大切ですが、それだけを優先すると日々の暮らしに支障が出ることもあります。特に見落とされがちなのが“動線”とのバランスです。
たとえば、炊事中の動き方を想像してみてください。冷蔵庫から食材を取り出し、シンクで洗い、コンロで加熱し、食器棚からお皿を出して盛り付ける――こうした一連の動きの中で、背面収納が通路を狭めていたり、扉を開けたままだと邪魔になる位置にあると、ちょっとした不快感が積み重なります。
また、収納の位置が高すぎたり低すぎたりすると、物の出し入れに手間がかかり、結果として使わなくなってしまうことも。収納は「たくさん入るか」ではなく「頻繁に使う物を、すぐに取り出せるか」を基準に考える必要があります。
家事のしやすさは、わずかな動きの差でも大きく変わります。収納を検討する際には、まずは今のキッチンでの動きを観察し、どこに立ち、どこを使い、どこが狭く感じるかを記録してみるとよいでしょう。そのうえで収納の配置を考えると、見た目だけではない“使える収納”に近づきます。
「おしゃれだけど不便」にならないために
背面収納を選ぶ際、見た目のデザインに心を惹かれるのは自然なことです。実際、インテリア雑誌やSNSでも、シンプルで洗練された収納が人気を集めています。ただし、デザイン性ばかりに気を取られてしまうと、実際の使い勝手とのギャップに後悔することもあります。
たとえば、取っ手が目立たないフラットな扉は見た目はすっきりしますが、濡れた手では開けにくいことがあります。また、ガラス扉を採用した収納は圧迫感を軽減できますが、中の雑多なものが見えてしまい、逆にごちゃついた印象になる場合もあります。
さらに、素材選びも重要なポイントです。無垢材や光沢のある面材など、高級感のある素材は魅力的ですが、手入れや耐久性という点では注意が必要です。キッチンは油はねや水気が多い場所。日常的に触れる場所だからこそ、見た目とメンテナンス性のバランスを意識する必要があります。
おしゃれな収納に憧れる気持ちは、多くの人が抱くものです。しかし「毎日使う場所」であることを考えると、使いやすさとの両立が欠かせません。見た目と機能性の両方に目を向けて選ぶことで、後悔の少ない選択につながります。
「何を入れるか」「どう使うか」を明確にする
キッチンの背面収納で後悔しないためには、収納の設計に入る前に「何を収納したいのか」「どのように使いたいのか」を具体的に整理することが非常に重要です。ここが曖昧なまま進めてしまうと、実際の使い方に合わない収納になり、結局使われないスペースができてしまうこともあります。
まずは、自分のキッチンにある物の棚卸しをしてみましょう。毎日使う調味料、週に数回使う家電、年に一度しか使わない季節用品など、使用頻度ごとにグループ分けしておくと、必要な収納量や出し入れの頻度が明確になります。
次に考えたいのが「動き方」です。どの位置に立ったとき、何がどこにあると便利か。これを意識すると、扉の開き方や引き出しの配置にも意味が出てきます。収納の“形”ではなく“使い方”から設計を始めることが、暮らしやすさに直結します。
また、キッチンは家族の誰がどのように使うかでも収納の最適解が変わります。子どもが手伝う家庭なら低い位置に食器を配置したり、高齢の家族が使うなら引き出し式にして腰への負担を減らすなど、家族構成に合わせた工夫も必要です。
収納を後から追加する際は、設計ありきではなく「暮らしの実態」ありきで考える。これが後悔を防ぐ大きなポイントになります。
限られたスペースでも、満足度を高める方法
背面収納はスペースに限りがあるからこそ、「ちょっとした工夫」の積み重ねで使い勝手が大きく変わります。単純に収納量を増やすのではなく、使いやすさと日々の暮らしへのなじみやすさを意識した設計が、後悔しない収納への近道です。
たとえば、奥行き。広く取りすぎると圧迫感が出ますが、浅く設計すれば視線が抜けて空間にゆとりが生まれます。浅型収納は奥の物が埋もれにくく、取り出しやすいという実用面の利点もあります。また、可動棚や仕切りを活用することで、見た目はシンプルでも中は柔軟に対応できるように設計することも可能です。
照明との組み合わせも意外と見落とされがちです。背面収納の上部に間接照明を入れると、空間が明るくなり、圧迫感を抑える効果があります。デザイン性だけでなく、手元の見やすさや安全性も高まるため、収納と一緒に検討する価値があります。
こうした細部の工夫を積み重ねるには、収納だけでなく「空間」としての視点を持った設計者の関与が欠かせません。家具選びにとどまらず、「このキッチンで、どんな暮らしを送りたいか」という視点で提案してくれる相手に相談することが、後悔のない選択につながります。
空間全体から考える収納設計に興味がある方はこちらも参考に:
https://www.kaneko-knst.com/aboutus
最終判断の前に、現場を“目で見て”判断しよう
収納選びの最終段階では、実物や現場の状況を“目で見る”ことが、後悔を防ぐ大きなカギになります。カタログや写真では魅力的に見えても、実際にその収納が自宅のキッチンにどのように収まるのかは、想像以上に雰囲気や使い勝手が変わるものです。
まず確認したいのは、動線や空間の「圧迫感」です。ショールームや実例写真を通じて、似たような間取りやサイズ感の事例を見ることで、自分の空間でのイメージを具体的に持つことができます。また、引き出しの開き方や取っ手の位置など、細かいディテールも現場で確認することで納得感が生まれます。
さらに、収納を後付けする際は「現場の条件」も見逃せません。コンセントの位置、梁や柱の干渉、床材との相性など、設計図では見えない制約が存在するため、できるだけ現場を見てもらった上での提案が理想です。
収納は“設置して終わり”ではなく、“使いながら育てていくもの”です。その第一歩として、自分の目で確認し、自分の感覚で選ぶ姿勢が、長く快適に使うための鍵になります。
小さな不安や疑問も、相談できる窓口があります:

